「今も、なんていうか……。いや、相変わらずなのちゃんのこと大事にしてて、大切に思ってんのは伝わってくるんだけど。なんかちょっと、朝陽らしくないかなぁ……なんて、思ってさ」
リュージくんの言うことは最もだろう。
朝陽らしくない、というのは私も同じように感じてしまったことだから。
今までの朝陽なら、リュージくんの言葉は軽く受け流して終わりだったように思う。
『うるさい』とか『だからなんだよ』とか、開き直るか悪態をついて、適当に話題を逸らすだけだったのに……。
「まぁ、俺の考え過ぎかな。朝陽だって調子の出ないときもあるだろうし、朝陽がなのちゃん一番なのは変わらないし……。あ、もしかして朝、変なものでも食べたとか!?」
「う、うーん……どうだろう。朝陽は、朝ご飯食べないときもあるから、それが原因かどうかは──」
と、そこまで言い掛けたところで、十数メートル先にある第三音楽室の扉が空いた。
反射的に音のした方へと目をやると、ひょっこりと現れたのは陸斗くんだ。