「努力が足りないとか、サボってるとか、違うだろ。アンタはアンタなりに努力してるんだから、少なくともその努力は認められるべきだ」
「……っ」
──努力は認められるべきだ。
思わず、涙が零れそうになった。
私は慌てて俯いて必死に唇を噛み締めると、膝の上に置いた手を、ギュッと強く握り締める。
「だから。次も何か似たようなこと言われたら、"提出が遅れたことは謝るけど、精一杯やった"って言えよ。"サボってない"って、ちゃんと言え。アンタには、それを言う権利があるんだから」
鼻の奥がツンと痛んで、喉の奥が締め付けられた。
……私には、言う権利がある。
私は私なりに努力をしているんだって……こんなにも言葉にして怒ってくれる人は、初めてだった。
「あ、ありがとう……」
俯いたまま、精一杯声を振り絞ると、「あー、くそっ」という投げやりな声がした。
慌てて顔を上げれば自分の髪にクシャリと指を通した陸斗くんが乱暴に椅子から立ち上がり、私に向かって歩いてくる。