「りっくんのことかぁ……。でも俺、今のりっくんのことは、全然知らないからなぁ。小学校のとき、りっくんの親が離婚して……りっくんがお母さんに着いて転校したきり、一度も会ってなかったから」

「え……」

「ほんと、この間が数年ぶりの再会だったんだよ。俺、最初、りっくんだって気付かなかったもん。昔はさぁ、ちっちゃくて可愛くて、女の子みたいーって、みんなにからかわれたりしてたんだぜ?」

「そう、なんだ……」


それこそ、今の陸斗くんからは想像もできない話だった。

だけど、そんなことより……両親が、離婚したって。

それで陸斗くんはお母さんに引き取られて……ということは、今でもお母さんと二人で暮らしているのだろうか。


「ああでも確か、年の離れた兄ちゃんがいたんだよなぁ。兄ちゃんは、多分お父さんについてって……でも、二人もどこかに引っ越しちゃって今は近所に住んでないし。だからなぁ、ほんと知ってることも限られてて」

「…………」


なんとなく、聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がして、私は返事に困ってしまった。

そんな私の心情を知る由もないリュージくんは、時々「うーん」と唸りながらも、陸斗くんとの思い出話を続けてくれる。