『なんで、障がいを抱えてたら好きな奴に好きって伝えるのが、ダメなんだよ』

『今以上の何かを望んだらダメだとかも、意味わかんねぇ。別にいいだろ、欲しいものを欲しいと思っても』


「俺は、別に……」

「確かに陸斗くんの言うとおり、世の中には何もかも完璧な人なんていないと思う。誰だって、何かが欠けてて……ただ、その場所が違うだけ。私の場合は、それが私の抱える障がいなんだって思ったら……ほんの少し、心が軽くなったよ」


顔を上げれば再度、視線が交差した。

ビー玉のように綺麗なブラウンの瞳はいつだって嘘がなくて、真っ直ぐだ。


「あのとき言えなくて、ごめんね。ありがとう」


微笑むと、何故か陸斗くんは狐に摘まれたような顔をして固まった。

そうしてそのまま数秒、私達は声を失くして見つめ合っていたのだけれど……。


「……っ、俺のほうこそ」

「へ?」

「何も知らずに、気持ち悪いとか言って……悪かったな」


突然そんなことを言い出した彼は、今度こそ顔を赤くしてから俯いた。