「ひとくちにADHDって言ってもね、人によって症状はそれぞれで、あの人はああだから、この人もこう……とは言い切れなかったりするんだよ」
「人によって……」
「もちろん、私も同じだけど。でも、私はそれを言い訳にして甘えだしたら、今度こそ自分のことを嫌いになっちゃう気がして……。そしたら今度こそ、朝陽の隣にはいられない。そう思うと不思議と、色んなことが頑張れるの。本当に、不思議でしょ?」
小さく笑うと、陸斗くんが声を飲み込み、押し黙った。
「少しでも、朝陽にかける負担を減らしたいから」
陸斗くんには、ADHDであることを私自身が打ち明けた。
どうして自分が彼に打ち明けたのか……今でも、明確な理由は見つからない。
「強がってるわけじゃないの。周りの人に助けてもらえたら、どれだけ楽だろうとも思うよ」
「だったら……」
「うん。だけど、頼ることと甘えることは違うから。人の手を借りる前に、自分なりにやれるだけやってみようって、決めてるだけ。もちろん人の何倍も時間はかかるけど……でも、失敗しても、できるところまではやってみたい」
イジワルな神様が私にどれだけ大きな試練を与えても。
唯一、〝諦めの悪さ〟を授けてくれたことには感謝する。