視線の先には眉根を寄せて、私を見つめる陸斗くんがいる。

腕を組み、窓に背を預ける彼の身体を、夕陽の光が淡く優しく包み込んでいた。


「アイツのこと、頼ればいい。そのほうが効率的だろ」

「うん、そうだね。でも……できることは、自分の力でやりたいから」


私の言葉に、陸斗くんが目を見開く。

その、意外とでも言いたげな目がなんだか可笑しくて、つい小さく笑ってしまった。


「ADHDって……よくわかんないけど、努力とか苦手なんじゃないのかよ」

「調べたの?」

「前にアンタと話して……少しだけ」


意外だった。

まさか、陸斗くんがADHDについて調べてくれたとは思わなかった。

確かに彼の言う通り、ADHDである人の中には〝努力が苦手〟という人が多いのだ。

もちろんそれもADHDであることが原因で、実際の本人の意志とは別の問題なのだけど、周りの人には〝やる気がない〟〝不真面目だ〟と捉えられてしまうことがほどんどだ。