わけのわからない諏訪くんに、私はまた歩きだす。そして、階段へと曲がる角のところまで来た。
「…………」
諏訪くんが私を止めようとした理由がわかった。足を止めて動けなくなった私に追いついた諏訪くんは、斜めうしろで大きなため息をついて、
「ほれ見ろ」
と言った。
上の階へと続く階段の踊り場、この前先輩が私と諏訪くんに向かって『じゃーね。続きをどうぞ』と言った場所で、桐谷先輩と舞川さんが話をしていた。
「…………」
べつに……話したらいけないなんてきまりはない。先輩と舞川さんは部活も同じなんだし、舞川さんは先輩のファンなんだから、なにも話さずにすれちがうことのほうが変だ。
でも、美術室で抱きあっていた姿を見たから、『沙希ちゃんには言わないでください』発言があるから……。だから、ふたりが話しているのを見ると、疎外感に押しつぶされそうな気持ちになる。
「おい、水島。顔、青いぞ」
「…………うん。大丈夫」
「大丈夫って顔か、それ。だから言ったのに」
桐谷先輩と舞川さんから見えないように角に隠れ、私と諏訪くんは背中と壁をぴったりくっつけながら隣同士で話す。
「…………」
諏訪くんが私を止めようとした理由がわかった。足を止めて動けなくなった私に追いついた諏訪くんは、斜めうしろで大きなため息をついて、
「ほれ見ろ」
と言った。
上の階へと続く階段の踊り場、この前先輩が私と諏訪くんに向かって『じゃーね。続きをどうぞ』と言った場所で、桐谷先輩と舞川さんが話をしていた。
「…………」
べつに……話したらいけないなんてきまりはない。先輩と舞川さんは部活も同じなんだし、舞川さんは先輩のファンなんだから、なにも話さずにすれちがうことのほうが変だ。
でも、美術室で抱きあっていた姿を見たから、『沙希ちゃんには言わないでください』発言があるから……。だから、ふたりが話しているのを見ると、疎外感に押しつぶされそうな気持ちになる。
「おい、水島。顔、青いぞ」
「…………うん。大丈夫」
「大丈夫って顔か、それ。だから言ったのに」
桐谷先輩と舞川さんから見えないように角に隠れ、私と諏訪くんは背中と壁をぴったりくっつけながら隣同士で話す。