その言葉と同時に、強く、強く抱き締められた。
パニックになっていた私の意識は現実へと引き戻されて、押し付けられた胸の鼓動がドクドクと頭の中で時を刻んだ。
ああ、私、今─── 今、何を言った?
今、私は、何を言われたの?
今……私は、どうして雨先輩に抱き締められているんだろう?
「美雨の未来を変えるって、言っただろ?」
私が息を吐いたのを確認してから、ゆっくりと腕の力が緩められた。
その腕の中で、誘われるように顔を上げれば、目の前には私を見て優しく微笑む雨先輩。
ああ、変だな。
ついさっきまで、先輩の方が泣きそうになっていたのに。
おじいさんの手紙を読んで、雨先輩の方が泣きそうだったのに、いつの間にか私の方が先輩の腕の中で泣いている。