「初めて逢った時は、変な人だなって思ったらしい。ただ、ぼんやりと景色を眺めてて……そこにいるのに、そこにいないみたいな、不思議な人だなって思ったんだって」


─── 雨先輩に、屋上で初めて逢った時。私も、トキさんと同じことを思った。

『きみの未来、俺には見える』

そう言った雨先輩を前に、私もトキさんがおじいさんと出逢った時と、同じことを思ったんだ。


「そこで、ばあちゃんがじいちゃんに、" 何を見てるんですか? " って聞いたら、じいちゃんは困ったように笑って、こう言ったんだって」

「え?」

「─── " 未来を、見てました " 」


未来を。


「それを聞いて、ばあちゃんは、じいちゃんのこと、やっぱり変な人だなって思ったって。関わったら、大変なことになるかもしれないって思ったんだって」


言いながら、面白そうに笑った雨先輩を見て、私は思った。

未来が見えるという、特別な力を持って生まれた二人。

もしかしたら二人は、似ているのかもしれない。

雨先輩と雨先輩のおじいさんは、きっと、とても良く似ているんだ。