「わかった。じゃあ、今日の夜に話そうね。約束。それじゃあ、いってきます」
「……いってらっしゃい」
名残惜しそうに、閉まるドア。
ごめんね、お母さん。……ありがとう。
心の中で零した言葉は、声にならない。
お母さんを見送った後、私は、しばらくその場に呆然と立ち尽くしたまま動けなかった。
* * *
「……未来を変える方法?」
昼休み、当たり前のように屋上に向かった私は、既にそこにいた雨先輩へ唐突に言葉を投げた。
『雨先輩。私、未来を変えたいです。何か良い方法はありませんか?』
なんの予告もなく、そんなことを言われた雨先輩は狐に摘まれたような顔をして私を見ている。
当の私はといえば、両手を腰に当てて、口をへの字に結びながら雨先輩の前で仁王立ちだ。