雨宿りの、星たちへ
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─── もしも、未来が見えたなら。



そんな馬鹿げた空想に

想いを馳せた、あの日から。

きみと二人、不確かなものばかりを追いかけた。



ねぇ、きみには、未来はどんな風に映ってる?

どんな風に、見えている?



暗闇の中で伸ばした手を掴んで、

光の射す場所まで歩いて行こう。



きっともう、大丈夫。

きみとなら、大丈夫。

きみと二人、見えない未来を探しに行こう。
 






 まだ見ぬ未来に届く、その日まで。





 








 月曜日の俄雨
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「……失礼しました」



頭を下げる直前に見た空は、澄み渡るような青だった。

その青とは裏腹の、酷く曇った心を連れた私は、" 榊 美雨(さかき みう) " と書かれた進路表を片手に、逃げるように職員室を後にする。


今日は朝から散々だった。

襟足についた寝癖は直らないし、そのせいでいつもの電車には乗り遅れるし、お母さんが作ってくれたお弁当もテーブルの上に忘れてきた。

こういう日は、必ずと言っていいほど嫌なことが続くものだ。

いつもより長く感じる廊下を早足で歩いて、階段を駆け足で上がると、屋上に続く扉を開けた。


「はぁ……もう、最悪」


開いた扉の向こうから、強く風が吹いた。

切れる息。ようやく吐き出した声は、やっぱり心と同じで曇っていて、重苦しくて。

私の足元に、どんよりと大きな影を作った。


 
 


『サカキ、これはどういうことだ。お前、自分の将来のことなんだぞ?』


朝、学校に着くなり担任の先生に言われた言葉。

眉間にシワを寄せた先生の手には、私が今握り締めている、私の進路表があった。


『白紙で出したのは、クラスでお前だけだったぞ。空欄を埋めて、来週の月曜日に必ず提出しなおしなさい!』


昼休みに職員室に来るように言われ、いざ行ってみれば頭が痛くなるくらいに懇々と怒られた末に進路表を突き返された。

偶然居合わせた生徒には興味本位で見られて、居心地悪いったらなかったし……

先生は、そんなことはお構いなしで、途中から普段の生活態度に対する話にまで、お説教を発展させた。