「やっぱりかぁー。三者面談、うちのクラスでやってないの、樹生だけだもんなー」
「……ハゲ下、樹生が言わなきゃ、樹生のお父さんに連絡するって?」
親友である二人は、それだけで俺の言いたいことを飲み込んでくれたらしい。
たったそれだけのことで、なんとなくホッとするのは今の気分が最高に憂鬱だからだろうか。
「……みたいだね。2年の時も一人だったし、前回のはさすがに誤魔化せなかったから。“お前本当は親御さんに三者面談あること伝えてないだろー”って、さ」
「……そっかぁ」
「ハゲ下のくせに、そういう時だけ勘が良いな!!」
「まぁ、学年で俺だけだったみたい、三者面談当日、保護者連れずに堂々と一人で来たの」
そう言っておどけた様な笑みを零せば、二人の表情があからさまに曇った。
(……だけど、それが事実だから仕方が無い)
俺はそんな二人の心情に気付かぬ振りをして再び小さく笑みを零すと、視線を窓の外へ静かに逃がした。