だって、こんな風にしたのは、間違いなく蓮司の心無い言葉なんだから。
「し、栞……、俺は……」
「(……っ、もう、蓮司とは話したく、ない)」
「え?なんて、……栞?」
「……っ、」
私の言っていることがわからず混乱する蓮司から、バッ!と、ひったくる様にしてノートを奪った。
それを机に置くと、私はそこに文字を書きなぐって、再びそのノートを蓮司の胸へと押し付ける。
【自分の目で確かめたことでもないのに、まるで噂が真実みたいに言うのは卑怯だよ。私は自分の目で見たものを信じたい】
それを読んだ蓮司は、酷く傷付いたような顔をして。
そんな蓮司を見て胸を痛めている自分に気が付いて、中途半端な優しさを持つ自分に嫌気がさした私は鞄を手に持つと、逃げるように教室を飛び出した。
「栞……っ、」
階段を駆け下りる直前。
蓮司の私を呼ぶ声が聞こえたけれど、私はそれに振り返ることなく一人、学校を後にした。