「なんでも、親が超金持ちのボンボンで、その親の金でリッチに一人暮らししてるみたいでさ。そこに、日替わりで色んな女を連れ込んでるって、俺の先輩は言ってた」
「……、」
「俺の先輩は、そいつと同じ学校だから良く知ってるって。頭が良いから、そういうのも上手くやるらしくて、でも陰じゃ、女に貢がせたりもしてるって噂まであるらしいよ」
「……、」
「顔だけは人一倍良いから、自分に自信があるんじゃね?って、先輩は笑ってた。クールぶってて、学校の行事とかもあんま参加しなかったり、お高く止まってるって」
「……、」
「栞も騙されてるんだって、マジで。ほら、前に言ったじゃんか。イケメンは性格悪い奴多いんだよ。聞いてる限り、マジ最悪な奴だし救えねぇ」
「……、」
「だからさ。栞も、酷い目に遭う前に離れろよ。これを機に、ソウマ イツキとは、もう二度と─── 」
「……っ、」
─── バンッ!!
耳を劈く(つんざく)ようなその音に、今度こそ教室が静寂に包まれた。