(……思う、だなんて)
きっとそう思う時点でこれは恋なのだろう。
だけど、それが分不相応な想いだってこともわかってるから。
何か、目を引く特技があるわけでもない。群を抜いて頭が良いわけでもない。アユちゃんみたいな、抜群の美人でもないし─── 極めつけに、声も出ない私。
そんな私が先輩に釣り合わないこともわかっていたし、こんな想いを抱いていることが先輩にバレたら、受験生である先輩を困らせるだけ。
だから、私は自分の気持ちに気付いてからも、先輩の前では出来る限りそれまで通りにしていたはずだ。
察しのいい先輩のことだから、もしかしたら気付いているかもしれない。でも。
それでも先輩は、今日までなんの変わりもなく接してくれていた。