語尾を強めた口調の蓮司の声に、慌てて顔を上げた。



「お前……そんなこと、一言も俺らに言わなかったじゃんか。なんで今まで黙ってたんだよ」



吐き捨てるような、蓮司の言葉。


私はそこでようやく、蓮司の言葉に棘(トゲ)があることに気が付いた。


眉間にシワを寄せ、睨む様に私を見下ろす蓮司。


腕組みしている指が僅かに揺れていて、そういう時は決まって蓮司が苛立っている時だ。



「どうなんだよ、栞」


(どうって、言われても……、)


「ちょっと、状況が読めないんだけど!なんで、その先輩とやらが、あんたにそんなこと聞いてくんのよ!」


「うるせぇな!!テメェには聞いてないから、ちょい黙ってろや!!」


「は……はぁ!?」



怒りを露にする蓮司を前に、思わず黙りこくってしまった私。


そんな私を庇うように割って入ってくれたアユちゃんを、蓮司は声を張り上げて一蹴(いっしゅう)した。