(わぁ……)



一歩外に出ると、柔らかな春風が頬を掠めた。


促されるように空を見上げれば、そこには無限に広がる青。



(今日は、なんだかイイコトありそう)



そんな晴れた日の空気を目一杯吸い込むと、私は一人駅に向かう足を速めた。



 
* * *




だけど駅に着けば、一転。そこには溢れる人、人、人。



(……うう、)



慣れないその光景に、一瞬くらくらしてしまう。


だって人口密度とか、絶対にオーバーしてると思うんだ。


こんなの、毎日乗ってる人もいるの?と、早速、一歩後ろへ足を引いてしまった。



─── と、いうのも。

私自身こんな時間に電車に乗るのは、高校に入ってから初めてで。


だって、いつもよりも何本も早い電車。