「……っ!!」



同じホームに立つ人達からの視線を一斉に浴びたけれど、そんなことを気にする余裕もなく、私は両手で自分の喉元を抑えた。


い、今……、私、声……っ。


けれど、そう思ったのも束の間。奇しくも向かいのホームには電車が滑り込んできて、溢れる人と電車のせいで先輩の姿はあっという間に見えなくなってしまった。



(嘘、……そんな……っ)



そう思っても、時間はもう戻ってはくれない。


再びアナウンスとベルが響き渡ったかと思えば、樹生先輩を乗せた電車は瞬く間に駅を発車し見えなくなってしまった。



「(……っ、なん、で)」



─── 先輩の消えた駅のホーム。ペタリ、と。再び声を忘れ、人目も憚らずにその場にしゃがみ込む。


……こんな、こと。

先輩に伝えなければ、先輩の気持ちに答えなきゃと思った矢先にこんなことになるなんて。


やっぱりこれは、伝えるなってことなの?


意地悪な神様が、私と先輩を結び付けないようにしているとしか、考えられな───