先輩からの、今にも消えそうな愛の言葉の下、開いたページの片隅には、流れるような筆記体で続けてこう記されている。



【Your love brings color to my world.】

─── あなたの愛で、僕の世界が色づいた。




「っ、」


その言葉に触れた瞬間、私は衝動のまま、力強く地を蹴って駆け出していた。


改札を抜け、階段を降り、樹生先輩がいるであろうホームへと全力で走る。


息が切れ、途方もなく遠く感じるその道のりの途中で、電車が駅へと入ってくることを知らせるアナウンスが耳に届いて鼓動ばかりが速くなった。



(嫌だ、待って……っ、まだ、行かないで、先輩……っ)



切れる息、激しく高鳴る胸に気付かぬふりをして、必死でホームへの道を走る。


走って、走って───



「(先輩……っ!!)」



その姿を見つけて、私は無我夢中で声を張り上げた。