「傷付けてばっかで、ごめん。待たせて、ごめん。何も言わずにいなくなったりして……本当に、ごめん」
そう言う先輩の声は小さく震えていて、それだけでまた涙が止めどなく溢れ出した。
先輩……樹生先輩。
どうして先輩は、そんなにも優しいんですか。
どうしてそんなに、温かいんですか。
ごめん、なんて。本当は私が言うべき言葉なのに、先輩はそれを全部私から取り上げて、何もかも自分のものにするんだ。
そして、先輩から貰ったその言葉で、今日までの3ヶ月、どうして先輩が私との連絡を絶っていたのか、その理由がわかってしまった。
先輩はきっと、私からの謝罪の言葉を受けないために。
私に事件のことを謝らせないために、【大学合格】という結果を持って会いに来てくれたんだ。
私が、これから先の未来で先輩への罪悪感を抱えないように。
私が、先輩の未来のことで傷付かないようにと、確かな結果を手に入れてから、こうして会いに来てくれた。
だけどそれは、先輩の膨大な、途方もない努力の上に成り立つ結果。
今日まで先輩のことをただ想うだけ。ただただ只管に先輩のことを想い、何もせずにぼんやりと待ち侘びていただけの私には、勿体無い言葉と気持ちだ。