「……今日、大学の合格発表だったんだ」
「(……え、)」
「第一志望だった大学……無事に、合格したから。だから、栞には、すぐにでも報告したくて」
「っ、」
言いながら、胸ポケットから封筒を取り出した先輩は、その中から一枚の紙を引き出すとそれを静かに私へと手渡した。
促されるまま、震える手で丁寧にその紙を開いてみる。
するとそこには、【合格通知書】という文字が書かれていて、その下には蓮司から聞いていた、先輩の志望していた大学名が確かに記されていた。
その通知書に穴が開くほど何度も何度も目を通した私は、息を殺しながらゆっくりと、先輩へと視線を戻す。
「……栞の、お陰だよ。栞がくれた、このお守りのお陰で、最後まで諦めずに頑張れた」
「(それ、は……っ、)」
「本当に、ありがとう」
そう言った先輩の手には、3ヶ月前の私の最大級の想いの一つが握られていて、私は今度こそ本当に息の仕方を忘れてしまった。