そう言うと、まるでこの3ヶ月が全て嘘だったかのように、悪戯に笑った先輩に返事をする事はできなくて。


思わず、自分の頬を抓ってみる。


すると、頬には痺れるような痛みが拡がって、ああ……夢じゃないんだと思った瞬間、先輩の笑顔が溢れる涙であっという間に滲んでいった。



「……ごめん、泣かないで。とりあえず、外、行こう。駅まで送って行くから」


「っ、」



そう言って、私の手に触れた先輩の手は、相変わらずひんやりと冷たい。


そして、その冷たさとは対照的な先輩の温もりに促されるまま、私は精一杯涙を堪えて立ち上がった。


ダメ、ダメだ。こんなところで泣いたりしたら、先輩を困らせてしまう。


何より、今泣いたりしたら、先輩のことを待っていたんだと言ってるようなものじゃない。


先輩のことを、ずっと想っていましたと言ってるようなものじゃないか。


だけど、だけど。

こんなことって、本当に───



「なんとなく……図書館に来れば、栞に会える気がしたんだ」



もう二度と、会えないと思っていたのに。