そして、その覚悟を決めてから3ヶ月。


今日まで、先輩からは一度足りとも連絡が来ることはなかった。


もちろん、先輩が私の前に現れることもない。


そしてこの本に、先輩が私へ向けて何かを残した形跡もない。


それはつまり……、私が賭けに負けたことを意味してる。


先輩と私はやっぱり、決して交わることのない道を歩いて行く2人だったのだと、改めて思い知らされたのだ。



「(……もう、本当に、今日で全部終わり)」



心の中で呟いて、私は手に取った本を静かに本棚へと戻すと、脱力したようにそこから一番近い席へと腰を下ろした。


同時に胸ポケットから生徒手帳を取り出すと、あるページを開いて指を止める。



「っ、」



【6時45分、一両目】

【相馬 樹生】



そこに、残された文字。


あの日─── 先輩と私を結び付けてくれた先輩の優しさに触れた瞬間、今の今まで堪えていた涙が溢れだして、私はそれを誤魔化すように机に突っ伏し、腕の中に顔を埋めた。