下駄箱からローファーを取り出し足元へ落とすと、蓮司に背を向け足先を入れた。


トントン、という心地の良い音が昇降口に響き、蓮司へと再び笑顔を向けて手を振り学校を出ようとすれば───


今度は、切羽詰まったような蓮司の声が、私へと投げられて再び足を止める。



「栞っ!!あの、さ。俺……」


「(うん?)」


「実は、昨日、話を聞いて……っ。それで、俺……余計なお世話かもしんないけど、でも……」


「(何の話?)」


「……っ、」


「(蓮司?)」



視線を泳がせ、続きを躊躇している蓮司を見て首を傾げれば、そんな私を見て強く拳を握った蓮司は意を決したように口を開く。



「─── あいつ。相馬先輩の、話」


「っ、」