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「栞、今日も図書館寄ってくのか?」
─── 高校2年、2学期最終日。
相変わらず長い校長先生の話を聞き、教室に帰ってくれば今度は担任の先生のお決まりの長期休みを過ごす為の注意事項。
それでも授業のない早めの1日を終えた私達の心は軽く、明日から始まる冬休みにそれぞれが胸を躍らせていた。
そんな中、帰り支度を済ませ、早々に学校を出ようとしていた私に声を掛けてきたのは蓮司で。
眉を下げ、未だに私に罪悪感を滲ませた表情を見せる蓮司に、私は努めて明るく笑ってみせる。
「(うん。先週借りた本、読み終わったから返さなきゃ。それに、新しく借りたい本もあるの。蓮司は、今日は部活ないの?)」
「ああ……うん。今日は、オフ」
「(そっか。たまには、ゆっくり休まなきゃね。あ、おばさんに、今年中に一度ご挨拶に伺いますって伝えといてね!)」