停学……停学って。嘘、でしょう?


だって、樹生先輩は私のことを守るために、その人に手を出してしまって。


ちゃんと説明すれば、先生や学校だってわかってくれるはずだと思っていたのに、いきなり停学だなんてそんな───



「ほら、栞ちゃんもわかってるとは思うんだけど、樹生もあの性格だからさ?先生に理由を問い詰められても、“ムカツイたから殴った”って、それしか言わなかったみたいで……。
でも結局、一部始終を見てたサッカー部の後輩たちが事情を先生たちに話して、とりあえず誤解は解けたみたいなんだけど。あ、栞ちゃんの名前は出なかったみたいだから、そこは安心して?」


「(そ、そんなこと……っ。それより今、樹生先輩は……っ!)」


「……うん。確かに誤解は解けたけど、殴ってるところをバッチリ先生に見られて捕まってるからさ。それで、学校としても何の処分も下さないっていうのは無理だったみたい」


「(そんな……)」


「まぁ、樹生も自分の非を認めないで抵抗するようなタイプじゃないし、殴ったのは事実だから、本人も納得して処分は受け入れた、って。でも、俺もタマも本人から聞いたのはそこまででさ。体育の授業から戻ってきたら樹生の鞄が無くなってて、多分家に帰されたんだと思うけど、色々心配だし今から樹生のとこに行こうとしてたんだけど─── 」


「(て、停学なんかになったら……っ)」


「え?」


「(停学なんかになったら……先輩の受験……推薦とかは、どうなるんですか!?)」