「あ……あーー!!思い出した!!シオリッ!!樹生の、“シオリン”だ!!」



けれど、そんな私の胸中を尻目に突然大声を上げたタマさん。


私を指差しながら目を輝かせる姿に、つい呆気にとられて固まってしまう。



「(え、え?)」


「なーんだぁ、シオリンかぁ。じゃあやっぱり、さっきの奴のカノジョじゃないじゃぁん」


「(あ……あの……?)」


「ちぇー、でもシオリンが相手じゃ、カワイ子ちゃんがヒーローに助けられる展開からのハグなんて事になったら、鬼の樹生に海に沈められるパターンじゃんかー、つまんねー」



「まぁ、俺はみんなのヒーロー目指してるからイイんだけどねー」なんて。


一人で何かを納得したらしいタマさんは、ウンウンと頷いてみせる。


そんなタマさんの様子に盛大な溜め息を吐いたのはアキさんで、未だ戸惑ったままの私は答えを求めるように再びアキさんへと視線を戻した。


すると、今度は困ったような笑顔を私に向けながら、アキさんはゆっくりと口を開く。