ドサリ、鈍い音と共に私の腕を掴んでいた男の人が後方に倒れる。


突然の出来事に、思わず私まで驚き大袈裟に肩を強ばらせてしまった。


というのも、その人が突然腕をクロスさせて突っ込んできたかと思ったら、勢いのまま私の腕を掴んでいた男の人に体当たりをしたのだ。


けれどお陰で掴まれていた手は離され、手の離れた男の人は尻もちをつくように後ろへ。



「成敗っ!!」



シャキーン!と、自分で効果音を付けながらポーズを決めたその人の背中を呆然と見つめてしまう。


だけどすぐに我に返り、慌ててその人─── クロスチョップさんにお礼の言葉を伝えようと携帯を開けば、今度は横から別の声が掛けられた。