「お、おいっ、そ、相馬─── 相馬先輩っ」
「……うっ、ぐ、」
「せ、先輩っ!!止め─── 」
「─── おいっ!!そこで何やってるんだっ!!」
「ぐ、っ」
「そ、相馬!?相馬か!?お、おいっ、止めろ!!相馬、今すぐ降りなさい……っ!!」
「っ、」
そんな─── 俺を制する大人の声を聞いたのは、どれくらいが経った頃か。
気が付けば俺は馬乗りになり、許しを乞うそいつの顔を殴っていた。
拳には血が滲み、自分の手がいつの間にか切れていたことすら気付けずに。
騒ぎを聞きつけた大人たちに無理矢理腕を捕まれ、引き離され、切れる息で精一杯呼吸を繰り返しながら、痺れるような手の痛みを感じてもまだ─── 足りない、気がした。