「……二度と、栞に近付くな。今度、栞を少しでも傷付けるようなことをしたら、俺はお前を許さないから」


「っ、」


「それと、お前みたいな奴が……栞の名前を、気安く口にするな」



吐き捨てるようにそう言うと、踵(きびす)を返してそいつに背を向けた。


そうすれば、俺の後ろで呆然とした様子で俺達のやり取りを見ていたらしい幼馴染くんと目が合って。


罪悪感と絶望に濡れるその瞳に“忘れろ”、と。


訪れた静寂に呑まれぬように、そう、口を開こうとしたのだけれど───



「ふ、ふざけんなよ、偉そうに……っ」


「っ、」


「悪いのは全部、俺の気持ちに答えなかったあの女と、途中から入ってきて横取りしたお前なのに……っ」



それは、背後から突然投げられた言葉に、阻まれてしまった。