「別に俺は……っ、真実をみんなに伝えただけだっ!!みんなの為に……っ、みんなが少しでも安心して暮らせるように、真実を……っ、」



俺に必死に訴えるそいつの声を、言葉を聞いても、感情が少しも動かないのはどうしてだろう。


栞と出会って言葉の尊さを知ったのに、目の前で張り上げられるこいつの声は、俺の胸には少しも響かない。


ただ……軽蔑の思いが、強くなる一方だ。



「……本気で、言ってるのか?」


「っ、」


「だとしたら─── 救えない奴だな」



吐き捨てた言葉は、最大限の蔑みの意が込められていた。


目の前の男を見る自分の目から、更に温度が無くなっていくのを自分でも感じる。


そんな俺の様子に、縮み上がるという言葉がこんなにも似合うか……というほどに顔を青くしたそいつは、今度は焦ったように口を開いた。