そこまで言うと、再び声を震わせ目を伏せた彼は、後悔で拳を震わせた。



「でも、今思えば……なんか色々、変なところがたくさんあって。先輩から聞かされたあんたの話も、ただ一方的に悪意の籠もった悪口に近かったし。それに、何より俺……先輩に、栞が幼馴染だって説明したことあったかなって……」



そう言う彼の言葉に、違和感を覚えたのは俺も同じだった。


栞と幼馴染の彼は、俺の一つ下の学年。つまりサッカー部の先輩という奴は、俺と同じ学年なんだろう。


俺と同じ学年のサッカー部だった奴。


この、何かに引っ掛かるフレーズを、俺はどこかで───



「その栞とのことを相談したのが、あんたと栞にお祭りで会った直後で。その時に、俺……聞かれるがまま、その先輩に栞の過去の話まで、つい話しちゃったんです……」


「─── 、」


「今更言い訳にしか過ぎないけど、あの時は、なんか我を失ってたって言うか……あんたの凄さを改めて目の当たりにして、自分の不甲斐なさを思い知って……それで、懺悔の気持ちも含めて、つい……」


「……、」


「そ、そしたら……っ。その後すぐに、栞の噂がTwitterで流れ始めてっ。どうして今更って俺も考えたんですけど、でもなんか、あまりにもタイミングが良すぎるから、まさか……って、ここ最近ずっと考えてたら、なんかもう答えは一つな気がして……」


「……もしかして、」


「え?」


「そいつ─── あの時、そこにいた?」