* * *




朝、栞と別れ、一人学校へと迎えばいつも通りの校門の前に、見覚えのある男が立っていた。


その人物は俺を見つけるなり壁に預けていた身体を放し、眉間にシワを寄せたまま足を止めた俺の方へと歩いてくる。



「……、」


「おはよう。俺に何か用かな、幼馴染くん?」



仏頂面、という言葉がピッタリな彼に向けて笑顔を見せれば、眉間に刻まれたシワが更に深くなった。


栞と同じ学校の制服を身に纏い、明らかな威嚇を押し出してくる彼が、俺に一体何の用なのか。


今からされる話が、良い話じゃない気がするのは、きっと気のせいではないと思う。