「……っ、栞っ!!」
「(……蓮司?)」
「あいつが─── 相馬先輩が、今……っ」
突然、教室に飛び込んで来たのは息を切らせ、焦ったような表情を見せた蓮司。
そんな蓮司から紡がれた言葉に、私は思わず言葉を失った。
「俺が……っ、あんなこと、言わなきゃ……っ」
「─── っ、」
─── それは、降り続いた雨のせいで泥濘んだ(ぬかるんだ)足元に、呆気無く攫われた未来。
私はいつだって、自分のことばかりで周りが見えていないから。
ようやく覗いた青空に、つい安堵していた私は今日も、その危うさに気づくことができなかった。