教壇から降り、未だに私に向けて頭を下げている彼らの元へとゆっくりと歩を進めた。


そんな私の影に気が付いた彼らもまたゆっくりと、頭を上げる。


再び視線と視線が交わって、思わず零れそうになった涙を必死に堪えながら、私は静かに彼らの前へと右手を差し出した。



「(ありがとう)」


「っ、」



─── ほら、ここにも先輩が教えてくれた優しさがあった。



“ 君の声、俺にはちゃんと聞こえたよ ”



誠意を持って言葉にすれば、それは伝わるのだと先輩が教えてくれたから。


ゆっくりと重ねられた手。

それに思わず笑みを零して、再び「これからも、よろしくね」と、そう言葉を紡ごうとした─── 瞬間。