「……なんで、こんなに理不尽なんだろう」


「(……え、)」



けれど、突然ぽつりと落とされた言葉に驚いて涙が自然と引いていく。


落としていた視線を上げれば、樹生先輩は私の方は見ずに真っ直ぐ前を向いて眉根を寄せていた。



「……悲しいけど、こっちがどんなに必死になって気持ちを伝えても、心ない言葉を平気で言える人間は確かにいて、そんな奴に毎日を必死に生きてる人間が当たり前に傷付けられるんだ」


「っ、」


「栞を、そんな心ない声から守りたいと思って、俺なりに必死に考えた。……でも、どうすることが一番良いのか答えは見つからなくて。結局俺は口だけで、栞のために何一つできてないんだって、思い知らされただけだった」



言いながら、悔しそうに睫毛を伏せた先輩は「……本当に、ごめん」と、独り言のように言葉を零す。