俺の言葉に、顔を上げた栞。


未だ、幼さの残る彼女はまだ17歳だというのに。


彼女の肩に乗る苦しみは、彼女から最愛の父を奪っただけでなく、苦しみを吐き出すための声までもを奪ってしまった。



「我慢、しなくていいよ。泣いていい。俺が、全部受け止めるから」


「っ、」



その声を合図に、栞の瞳から音もなく大粒の涙の雫が零れ落ちた。


白く滑らかな頬を伝い、次から次へと落ちていく、栞の苦しみの欠片たち。


それを隠すように、再び栞が両手で自身の顔を覆った瞬間、俺は衝動のままに彼女の身体を抱き締めた。


腕の中。震える身体と落ちていく涙の雫が声となって、俺の心に語りかける。