「……え?」


「あんた……何も知らないんだね?自分の父親が自分の友達の弟を殺しておきながら“今すぐ謝って”?あんたの方こそ、偉そうに……頭おかしいんじゃないの?」



吐き捨てるように紡がれた言葉に、そこで漸く馬鹿な私は気が付いた。


彼女の後方、目に一杯の涙を溜めて、私を睨んでいる瞳。


私へと一心に向けられる、敵意の篭った目───



「嘘……そん、な……」


「嘘じゃない。この子の弟は、あんたのお父さんが運転してたバスに乗ってたの」


「っ、」


「あんたのお父さんが、どれだけのことをしたのか。人殺しって言われても、仕方ないんだよ!」