その言葉に、一瞬目の前が真っ黒に染まった気がした。


喉の奥が熱くなり、鼻がツンと痛む。


─── 人殺し。

マスコミの人たちからも、もう何度も浴びせられた言葉。


やっと解放されたと思っていたのに、そうじゃなかった。


今日だって、学校に来るまでの道程で感じた視線はあの人たちと同じもの。


─── だけど、違う。そうじゃないの、だって。


私のお父さんは、バスが大好きで。


バスの運転手という仕事を、誰よりも誇りに思っていた。


お客さんのことをいつも一番に考えていて、毎朝会う学生さんやOLさん、サラリーマン。


足の悪いおばあちゃんやおじいちゃん。妊婦さんや可愛い赤ちゃん。


誰にでも分け隔てなく声を掛け、今日はどんな人を乗せたのか、その道程で見た景色を、娘の私に毎日楽しそうに話してくれた。