けれど、そのマスコミらしき男の人との一件が、ほんの序章に過ぎなかったことを、私はこのあと嫌というほど思い知ることとなった。


お父さんが亡くなってから数週間、外を歩けば何度も何度も似たような人達に声を掛けられて、その度に心無い言葉を浴びせられた。


挙句の果てには家の前に張り付くその人たちにモラルというものは存在しないのか、家を出ることすら困難になり学校に行くことが出来なくなってしまった。


バス事故は豪雨による視界不良と、バスの運転手であったお父さんの前方不注意によって起きたものと判断されて。


お父さんは結局、被疑者死亡のまま書類送検となり不起訴処分。


けれど、それに納得のいかないマスコミらしき人たちは、何度も何度も私達家族の前に現れた。


私達からすると面白がっているとしか思えない行動に、そろそろ我慢の限界を覚えた頃、漸くその人たちは事件に飽きたようにいなくなった。



─── そうして、再び学校へと通えるようになった頃には。


私の周りの景色は180度、変わってしまっていたのだ。