「……大丈夫かな?」


「っ、」


「私が言う事ではないかもしれないが、ああいう人間には気を付けた方がいい。彼らはあることないこと言って人の心を揺さぶり得た情報で、酷く低俗な記事を書くのが仕事だ」



溢れ出る涙を精一杯堪えながら俯いていると、不意に声を掛けられて、私は慌てて顔を上げた。


見上げれば、そこにはたった今私を助けてくれたお医者さんが心配そうに私を見つめていて。


柔らかな目元と清廉な雰囲気が印象的なお医者さんは「これを使いなさい」と、ハンカチを渡してくれた。


私は、そんなお医者さんからハンカチを受け取ると、「ありがとうございました」とお礼を告げてから頭を下げ、逃げるようにその場を後にした。