グイグイと、不躾に私に迫り寄ってくるその人のせいで周りからも好奇の目を向けられ始めた頃。


たまたま通り掛かった壮年のお医者さんが、私とその人との間に入ってくれた。



「あ、あなたは、ここの医者ですか?それなら、昨日の事故を起こした運転手が何か事故の原因となるような事を─── 」


「患者様や、そのご家族のプライベートなことは一切お話しできません。ここは身体の具合の悪い方が、いらっしゃるところです。どうぞ、関係のない方はお引き取りください」


「っ、」



キッパリと、有無を言わさぬ口調でそう言ったお医者さんに、マスコミの男の人もそれ以上は何も言えないと言った様子で言葉を飲み込み病院から出て行った。


その後ろ姿を見つめ、今更ながら、お母さんが昨日連れて行かれたあれは事情聴取で───


昨日のあの人たちは、今の人とは違う、警察の人たちだったのだと思い知る。