「昨日、午前11時頃○○区の路上で── 」



病院のロビーに備え付けられたテレビで、そんなニュースがやっている。


まさかそれが、自分のお父さんの起こした事故で、その事故のせいで数人の人が亡くなっただなんて、昨日の今日ではとても信じられそうもなかった。


─── バスの運転手をしていたお父さんは、仕事中に事故を起こした。


大雨の中、お父さんが運転していたバスと一台の乗用車がぶつかった。


その事故でお父さんを含め、バスに乗っていた乗客が数人と、乗用車を運転していた人が死亡したという。


……私は、何か悪い夢でも見ているのだろうか?


そう思って何度も自分の頬を抓ったけれど、決して夢から醒めてくれることはなくて。


未だ現実を受け入れることもできず、ぼんやりと病院の景色を眺めていると、突然トントン、と肩を叩かれた。