「……なんか、今日の雨はすごいね」



そんな言葉をお母さんに零したのは、丁度、朝の10時を過ぎた頃だろうか。


テレビでは、記録的豪雨だなんてアナウンサーが言っていて、その時はどこか他人事のように聞いていたけれど。


窓の外、降りしきる雨で真っ黒に染まった景色を見つめながら、ぼんやりとお父さんのことを考えると、ふと不安が胸を過った。



(お父さん、こんな雨の日にお仕事なんて……明日の休みも、雨だと出掛けられないかな)



明日は、私が中学校に入学してから、お父さんと初めて休みが被る日だ。


バスの運転手をしているお父さんは、土日も仕事のことが多い。


たまの平日の休みも、私が学校に行ってしまうとお父さんと出掛けるなんてこともできなくて。


だからこそ、明日は珍しく休みの被った日曜日。


お父さんとは、どこかに出掛けようと予め約束していた。