「はい、お父さん。これ、お守り!手芸部でね、作ってみたの!」


「おー、栞手作りのお守りか?んー、これはバスの形か?なんか、不格好だなぁ」


「もう!!それなら、もうあげないよっ!!」


「ははっ、冗談だよ。ありがとう。毎日持っていって、大切にするな?」



大きな手。お世辞にも上手とは言えない、フェルトで作ったバスの形をしたお守りを持って、嬉しそうに笑ったお父さん。



「あなた、今日は雨が降るみたいよ。傘、持って行ってね」


「ああ、ありがとう。それじゃあ、お母さん、栞。今日も、いってくるな!」


「うん。いってらっしゃい!」



─── その日も、いつも通りの朝だった。