「今、ココア入れてくるから座ってて」



先輩の家に着き、渡されたタオルで雨に濡れてしまった制服と鞄を拭くと、促されるままカーペットの上に腰を下ろした。


キッチンへと消えていった先輩の後ろ姿を見送りながら、改めて小さく息を吐く。


先輩の家に来るのは今日で二度目だけれど、一度目の時とは違って部屋が明るく見えるのは、テレビ台の横に観葉植物が新たに置かれたせいだろうか。


先輩が買ったのかな、なんて。


ぼんやりとそれを眺めながら再び息を吐けば、コトン……と、テーブルの上にマグカップが2つ置かれた。



「……そのパキラ、父さんが持ってきたんだよ」


「……っ、」


「なんか、緑を部屋に置くと気持ちがリラックスできるから、って。……よくわかんないけど、まぁ言われた通り、とりあえず置いてみた」