言葉を紡ごうとする私を制し、笑顔を携えた表情とは裏腹に、酷く冷たい声を出した先輩が、先輩の動向を呆然と見ていたクラスメイトたちへと問いかける。
先輩の雰囲気と様子に、クラスメイトたちはゴクリと喉を鳴らし、それぞれに口を噤んだ。
そんな様子に小さく笑った先輩は、続けて教室の外へと視線を移すとゆっくりと口を開いた。
「─── 面白半分、興味半分で噂を広めて、無抵抗な人の心を平気で傷付ける奴らも同罪だ」
「っ、」
「今ここにいる人たちを貶める(おとしめる)ような何かを、彼女がしたのか。こんな風に、一方的に攻撃されて当たり前だと言い切れるような事を、彼女はしたのか?」
「─── 、」
「自分が何かをされたわけじゃないのに、周りの意見に同調することで自分を守って。ひたすらに他人を傷付けて楽しむ人間を、どう思う?噂を流してる張本人と、わざわざ同じ位置に立つ自分をどう思う?」
「……っ、」
「……俺だったら、そんな情けない奴に成り下がるのは、ごめんだけどね」