シン、と静まり返った教室に、蓮司の荒くなった息遣いだけが響いていた。
「……で、でもさ。本当のことだろ?」
ぽつり、その静寂に耐えられなくなった誰かが呟く。
「そ、そうだよ!それに俺らじゃねぇよ、それ!」
「だって、体育の授業が終わって帰ってきたら既に書いてあったんだぜ!?」
「平塚には悪いけど、この学校にいる人間なら、もう誰だってこの噂も知ってるだろうし、俺たちだけに言うのは間違ってんだろ!!」
次々に上がる声は、みんなの本音だろう。
赤信号を誰か一人が渡った瞬間、それなら自分だってと次々に足を踏み出す。
気が付けば、いつの間にか騒ぎを聞きつけたらしい他のクラスの人たちまでもが集まってきて、私達の教室を包囲するかの如く取り囲んでいた。