「そ、相馬?」



突然表情を歪めた俺を見て、狼狽えたような声を出すクラスメイト。


そんな2人を前にしても、もう何一つ取り繕うことも出来ないほどに、今の俺は自分の感情をコントロールすることが出来なかった。



「あれー、樹生、何やってんのー?サボりか?余裕綽々受験生の安定のサボりか!?」


「おい、タマ!樹生は今大事な時期なんだから邪魔しちゃダメだって─── い、樹生!?」


「……っ、」



そうして気が付けば、勝手に動いていた身体。


駆け出した足は、自分の心のまま真っ直ぐに彼女の元へ。


冷たい雨に降られているであろう彼女の元へと、無我夢中で走った。