─── あれから瞬く間に時間は流れ、9月は長月という別名とは裏腹に、通り雨の如く過ぎ去った。


色を失い始めた木の葉を見ながら、私はもうスッカリと癖になってしまった溜め息を吐いて空を仰ぐ。


後輩の彼女からTwitterの件を聞かされて以降、蓮司やアユちゃんが犯人を特定するために色々と試行錯誤を繰り返してくれたようだけど、結局未だに犯人はわかっていない。


それでも犯人は今も私の噂を定期的にツイートしているようで、学校にいればそれを知った生徒たちから痛い程感じる視線と陰口。


心では気にしてはいけないとわかっていても、その暗闇に迫る足音に、どうしても耳を澄ませずにはいられなかった。



「栞、今日も寝不足?」


「っ、」



朝、ぼんやりと意識を浮遊させていた私に、樹生先輩の柔らかな声が落ちてくる。


慌てて焦点を合わせれば、眉根を寄せながら私を見ている先輩がいて、焦り混じりに頷けば寝不足のせいでほんの少し頭が痛くなった。